中島 敦著「李陵・山月記」

今回の本は中島 敦さんの「李陵・山月記」です。

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「ウキウキそしてキラキラ!いやんもうhappy!」…て本ではなくてですね(タイトルからそんな感じじゃないてすぐわかりますが)


「国語の教科書で年端もいかぬうちから読んだよ!」て方もいらっしゃるかなあと思います。中島敦さんて、随分早逝しておられますよね。呼吸器系があまり頑健ではいらっしゃらなかったという記述をWikipedia等で読んだ記憶があります。


実はトりんく まんまる世話人も教科書で読んでは(読まされては?)いたのですが、第一遭遇期は特にコレと言って印象には残りませんでした。

「あんれまぁ虎になっちゃったよ大変だぁ」…くらい(すいません)。


世話人は中学3年生終了辺りまでサンタクロースの存在を信じ切っているような脳内お花畑の人生前半戦だったせいで、この本の真価が理解出来るようになるのは普通の成長速度の方々よりずっと年月が経った後(20代後半あたり)でした。


ある日会社の同僚が言ったのです。「中島敦すっごい、ですよ。しみますよ…!」その同僚、仮にK嬢としますが結構な本読み猛者であった為、「ヌシが言うなら間違いあるまい!買って読もうではないか」とその日のうちに買って読…



眠れませんでした。



その時の感想は「これは早死にするよ…!」でした。



静謐かつ緻密で、物凄い圧力で(それは現実に無い、彼の内部の圧力だと思います)ぎゅうっと凝縮された文章は、大木になるまで長い長い間森の奥深くで育った香木を切り倒し、微細な粉末にして蒸留した液体を更に昇華させた奇跡の果てに完成した精油のようで、こんな命の滴みたいな文章をこのようにいくつも紡いでいたら持っている生命をゴリゴリすり減らして、もうもう幾らも もちますまい…と感じました。いやもう、なんというか…降参降参。完敗。というかエエイ中島敦さんの未来永劫生き続ける文章に、乾杯!!

貼ってある画像の文庫本は短編が4つ入っていて、「山月記」は9ページだけですがガツンと重く応えます。他に弓の鍛錬をする人の話と、孔子の勇ましいお弟子さんの話、捕虜になって煩悶する軍人さんの話など読み応えのがっしりある、たとえて言えば極上ビーフジャーキーのいろんな味セット。みたいになっております。(文語表現的な言い回しが多く、よく読み込まないと消化しにくい所もビーフジャーキー感満載です)


…自分の能力に疑いを持ってしまった夜。自分の可能性に気が付いた夜。そもそも自分に能力など無かったと思う夜。眠る前に読んでみませんか。


ただし、翌日はお休みの日であるようにご御調整願います。

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